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開発者環境投資

文責: KAKKA

なぜ”開発者環境投資”は重要か

開発者がパフォーマンスを発揮するには、開発者自身がストレスを感じることがないような開発環境を整えなければなりません。開発者がストレスを感じないような環境は、開発者に聞かなければわかりませんし、開発者にとってのより良い開発環境は常に変化し続けるものです。
もし開発者の声を聞かずに、単純にパソコンが使える、インターネットが使えるといった開発者がストレスを感じる環境であれば、生産性が下がるだけではなく、開発者が離職してしまったり、開発者を採用できなかったりするリスクも生じてしまいます。

”開発者環境投資”とはそもそも何か

開発環境投資とは、開発者の環境をより良くするために、人的コストやサービス利用コストを割くことです。
この「人的コスト」とは、開発者が環境に満足しているかどうかを常に解像度高く把握し、改善していくための体制を整えることです。サービス利用コストは、実際に開発者が利用したい、または利用することによって生産性が上がるサービスに対して支払うコストです。

”開発者環境投資”を代表するプラクティスの解説

ここで紹介する開発環境投資のプラクティスは基本的なことですが、開発者の声を聞くことで本当にできているかどうかを確かめることも重要であることを忘れてはいけません。定量的に計測できるものであっても、しっかりと開発者全員がその状態にあるかどうかを確認する必要があります。

開発者(およびデザイナー)は、職務遂行に十分なスペックの開発マシンを貸与されているか。(開発マシンは、開発者からのアンケートなどを通じて満足が確認されているか。)

十分なスペックの開発マシンがないと、開発作業に非常に時間がかかります。例えば、スペックが十分ではない開発マシンでアプリケーションをビルドすると、ビルド完了までに10分や20分もかかることがあります。アプリケーションのビルドは、それぞれの開発者が一日の中で何度も行うものであり、ビルドの待ち時間だけでかなりの時間が無駄になってしまうことになります。
また、開発者は高機能なツールを日々使います。十分ではないスペックの開発マシンでこの高機能なツールを使うと、非常に動作が重くなり、作業効率が下がる原因になります。単純にこの高機能なツールが動作しているから、と安心するのではなく、スムーズに動作しているかどうかを開発者の声を聞いて確認する必要があります。

オフィス内のWi-Fi速度は安定して100Mbpsを超えており、人数規模に十分なキャパシティを持っているか。

特にリモートワークが盛んになってから、かなりの割合の仕事がオンラインで行われるようになってきました。例えば、フルリモートでの勤務が許可されていた場合、チームでの会議はオンライン会議になります。このような複数人が参加するオンライン会議でWebカメラを利用し、動画をストリーミングさせながらその画面を共有するなどの使い方をすると、100Mbps未満のWi-Fi速度では足りなくなってきます
また、オフィスのWi-Fi利用者が少人数のときには十分な速度だったとしても、人数が増えてきた場合に速度が100Mbps以下になることがあります。この状態だとWi-Fiのキャパシティが足りていませんので、人数規模に対するキャパシティも十分に考慮しましょう。
オフィスで働くことのメリットがある場合、Wi-Fiの速度が遅いからオフィスに行かないという選択をされないように十分な速度とキャパシティを持つ必要があります。

”開発者環境投資”はどのようにして測定するか

開発環境投資の具体的なプラクティスは他にも多くあり、組織や事業によっても異なります。誰のための開発環境なのかを理解し、開発環境を使う人の声を聞くことが重要です。
具体的には、満足度調査やeNPS℠を使って満足度を定期的に調査します。それでも根本の課題や開発者が求めているものがわからない場合は、個別に対話を通じてヒアリングを行ったり、自組織以外のモダンな情報も取得したりするなどが効果的です。

”開発者環境投資”で陥りがちなアンチパターンとはどういう状況か

開発環境が物理的に整っているのにも関わらず、セキュリティに関する社内規定が厳しすぎる場合には、スムーズに開発環境が使えなくなってしまいます。このような状態では開発者がストレスを感じる環境になってしまいます。よりスムーズに開発環境が使えるようにするためには、利便性を損なわずにセキュリティコントロールができるような「攻めのセキュリティ」に対しての投資も必要になります。
例えば、開発者は様々なサイトやSNSから最新情報を取得することで、より良い業務ができます。情報を取得するサイトを極めて限定的にすることは情報取得方法を限定することになります。また、SNSの利用は情報取得のためだけではなく、情報の発信や、採用活動にも積極的に使われているため、幅広く有効活用ができます。
 
 

”開発者環境投資”のクライテリア: