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スパン・オブ・コントロール

 

スパン・オブ・コントロールとはなにか

スパン・オブ・コントロールとは、1人の管理職が直接管理できる人数を定義する考え方です。一般的には5~8名と言われています。スパン・オブ・コントロールが適切に行われることで期待されることは、組織的な成果が出しやすくなることです。

なぜ重要か

組織的な成果を支える管理可能な要素としては「人間の行動」と「自己成長」が挙げられ、組織で管理・監督すべき対象となります。スパン・オブ・コントロールの概念を活用することにより、チームは適切な目標設定を行うことができ、その遂行に向けての行動と評価がしやすくなります。逆に概念をうまく適用できないと、成果が出にくくなるだけでなく、風通しが悪くなったり管理職自身を含めた個々人の成長へのケアが行き届きにくくなります。

測定の基準

ビジネスに必要な意思決定や課題解決が適切に早く行われることを目指してスパン・オブ・コントロールの重要さが認識されており、いかに柔軟に調整しやすい状態になっているかが測定の基準となります。フラット型やピラミット型といった全体の組織構造を変えることが難しい場合であっても、極力望ましい状態を目指します。
 

代表的なプラクティス

  • 1人の管理職が直接管理できる人数を5~8名におさめるようにします。
  • 基準から外れたり問題が起きている場合には、主に「業務量」、「機能」、「課題の共通性」、「管理職のマネジメント以外の業務量」の4つからアプローチすることを考えます。
 

業務量

メンバーの業務量が少なければチームの範囲を広げ、業務量が多ければ分割します。
 

機能

権限委譲が進んでいないチームがあれば委譲を進めることを考え、場合によっては機能によってチームを分割します。
 

課題の共通性

直面している問題と似た課題に対処している別のチームがあればメンターとして配置したり、横断プロジェクト化することによって負担を軽減しつつ改善を試みます。
 

管理職のマネジメント以外の業務量

管理職がプレイングマネージャー的な立ち位置になっている場合には、マネジメントに必要な1on1や人事評価にかかる工数を定め、引き算した残りの業務量が適切な量に保てているかをモニタリングします。
また、管理職の技能の問題に矮小化しないようにします。マネジメントは個人の問題ではなくチームにとって重要であることを認識し、マネジメント以外の業務をチーム内外に委譲する、管理職の下にリーダーを配置する、合理化する、外注するなどを組織全体の課題として考えます。
 

アンチパターン

階層と評価制度の硬直化

スパン・オブ・コントロールは組織の状況によって適正に動かせるものであるべきなので、人事制度は職位と給与の等級とを連動させないようにします。給与原資が足りないために管理職を増やすことができず、スパン・オブ・コントロールが機能しないといった事態に陥いらないように、例えばピープルマネジメントを行う管理職と技術的な専門性が高い人がいた場合に、後者のほうが給与が高いといったことがあり得るようにします。
やむを得ず実施できない場合には、「課題の共通性」や「管理職のマネジメント以外の業務量」からアプローチできることを探します。
 

階層と評価制度の不一致

どのメンバーにとっても業務的な命令を行う上司はひとりであることが望ましいです。マトリクス組織や兼務など指揮系統が複数ある場合には予め業務と評価の割合を決めておき、実態を把握するようにします。また、人事評価と指示を行う者が一致しないケースもモニタリングします。
 

組織に浸透させるために

  • 部門の役割と行う業務の役割が一致するように部門のミッションステートメント(業務掌握)を明確に決めて全社に公開します。
  • スパン・オブ・コントロールの概念に対してアンチパターンとなる例外が生じる場合には、その扱い方や対処方法もガイドライン化します。
 
 

スパン・オブ・コントロールのクライテリア