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バリューストリーム最適化

文責:日本CTO協会 貝瀬岳志

"バリューストリーム最適化"はなぜ重要か

企業にとって、顧客に対して継続的に価値提供することは生き残りをかけた使命と言えます。ただ、変化の激しい現代社会において、「継続的な価値提供」は口で言うほど簡単なことではありません。多くの企業は、こうした変化に適応するために、組織の変更、新技術の導入、新たな人材の採用など、組織力を強化・拡大する取り組みを行っています。
一方で、仕事の進め方、業務のプロセスはどうでしょうか。組織を拡大しても、従来の方法を慣習的に行っていると、サイロ化による無駄な業務の増加、業務の受け渡しによる待ち時間の発生、ひいてはサービス品質の低下を招き、継続的な価値提供の阻害要因となってしまう可能性があります。ここに、バリューストリームを定期的に確認し、最適化を行う意味があるのです。
バリューストリームとは、顧客に対して製品やサービスを提供するために必要な活動すべてを意味します。製造業であれば、サプライヤーから原材料を調達し、それを製品の形に加工し、販売プロセスを通じて顧客に届けることなどが含まれます。

バリューストリーム最適化の手法

代表的な手法に、バリューストリームマッピングがあります。製品やサービスの提供過程を可視化・分析するためのプラクティスで、リーンソフトウェア開発の22の思考ツールの中の1つにも挙げられています。
バリューストリームマッピングによって、以下のような効果が期待できます。
  • プロセス間の関係を明らかにする
  • 付加価値のあるプロセスと、無駄なプロセスを特定する
  • 関係者間で現状と将来のビジョンを共有し、望ましいプロセスへの変化を促す
バリューストリームマッピングの手法を用いてプロセスを可視化したものはバリューストリームマップと呼ばれます。具体的な事例については、Google社のDevOpsに関する記事でも紹介されています。

バリューストリームの再点検と最適化

バリューストリームマップで可視化された業務プロセスから、付加価値を生み出さない業務や待ち時間などの無駄を特定し、削減することでバリューストリームを洗練させることができます。バリューストリームは一度最適化して終わるのではなく、定期的または組織に変化が発生するたびに再点検することが大切です。継続的に最適化を図ることで、顧客に対する「継続的な価値提供」が可能になります。
バリューストリームマッピングを行う際は、他部門のプロジェクト関係者や、マネージャー・経営陣の参画を促すことで、分析にさらなる深みを持たせることもできるでしょう。

バリューストリーム最適化のクライテリア

参考資料