デザイン組織
文責: 丸山 直樹
なぜ”デザイン組織”は重要か
デザイン思考はビジネスにおいてとても重要になってきています。
全社で統一されたクリエイティブ・顧客体験を作ることで競合優位性を高めることができます。
その中心となる職能がデザイナーです。
デザイン組織を設置することは、デザイナーの専門性を最大限に発揮するための手段となります。
”デザイン組織”とはそもそも何か
デザイナーが職能を発揮するには、以下のような状態が必要です。
- 一部の工程のみではなく、プロジェクト全体の意思決定に携わる。
- 継続的に顧客のフィードバックより学びを得る。
- スキル向上やキャリアのサポートを提供し、デザイナーの成長し続けられる環境。
これらを満たすための体制をデザイン組織と呼びます。
”デザイン組織”を代表するプラクティスの解説
デザイン組織を設置していく上で重要なことは、経営層がデザイン思考の重要性を理解し、ビジネス活動の中心に添えていくことです。
そうすることで、適切な組織設計や投資判断を行うことができます。
そのためのプラクティスを解説します。
全社のクリエイティブや顧客体験デザインを担う専門知識を持った経営幹部を配置する
デザイナーが職能を発揮するために、プロジェクト全体の意思決定に関わったり、継続的にプロジェクトに携わっていくには、デザイン思考をベースとした組織設計が重要です。
これら投資判断はトップ・マネジメントの領域となるため、経営幹部が専門知識を持って実施していく必要があります。
ガイドラインなどを用いて、内製化すべきことと外部の専門家集団を活用することを明確にする
デザインに限ったことではありませんが、自社のデザイン組織のケイパビリティを分析し、継続的に組織にナレッジをためて行く必要があるかなどの判断基準より、内製化すべき箇所とそうでない箇所を明確にすることで、効果的なリソース配分を行っていきます。
事業責任者が顧客体験やデザイン思考のトレーニングを受ける
事業責任者がデザイン思考を理解することは、デザイン組織・デザイナーとのコミュニケーションが円滑になる、顧客視点に立った意思決定が行われるようになる、などが期待されます。
期待される効果が得られると、ビジネスの成長・イノベーションを促進することになります。
”デザイン組織”はどのようにして測定するか
デザイン組織のリーダーが以下の項目を満たしているかを確認してください。
- 採用・育成について権限と責任を負っている
- 自社戦略に必要なデザイナーの人事戦略を自ら立案している
”デザイン組織”で陥りがちなアンチパターンとはどういう状況か
デザイナーが兼務が多い・またはプロジェクトに関わる期間が短い
プロダクトのターゲットであるユーザーへの共感や、どのような事が事業への価値であるかの理解などは継続的に仮説検証を進めていくことで醸成されていきます。
兼務が多かったり、関わる期間が短いと本来のデザインの専門性を反映させることができなくなります。
専任で配置されるのみでデザイナーとしてのキャリアやスキル向上のサポートが乏しい
一部の工程に専任で配置するのみでは、デザイナーの専門性を最大限発揮することができません。
デザイナーが事業を理解し、自身のスキルと掛け合わせていくことでビジネス成長に貢献することができます。
そのためには、デザイナーの育成が不可欠で、1on1や目標設定など、スキル向上やキャリアのサポートを提供する必要があります。
デザイナーがプロジェクトの意思決定に関われなかったり、デザイナーに情報を伝えるのが遅いため、カスタマージャーニー全体に対する価値が発揮しづらい
デザイナーはカスタマージャーニー全体を俯瞰することが専門性を発揮することに繋がります。
そのためには、一部の工程のみデザイナーを関わらせるのではなく、プロジェクト全体を通して意思決定できるような業務プロセスを改善する必要があります。