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チームビルディング

文責:日本CTO協会 貝瀬岳志

"チームビルディング"はなぜ重要か

システムを改善するチームは、組成してからパフォーマンスするまでに時間がかかります。 多くの場合、同じメンバーで継続的に1つのシステムを改善すると学習が進み、開発を高速に行えます。一方、あまりに長い期間同じメンバーが継続しすぎると属人化や改善のサイクルが止まってしまいます。

"グループ”と”チーム"

複数の人間の集団に対して、”グループ”や”チーム”と呼ぶことがあります。”グループワーク”や”チームワーク”も同様に、集団での作業を行う際に使われる言葉です。一方、”チームビルディング”という言葉は聞いたことがあっても、”グループビルディング”という言葉は耳慣れないのではないでしょうか。
本解説文では、グループとチームを以下のように定義します。
  • グループ:独立した目的・目標を持ち、個々人の成功・失敗を重視する人たちの集まり
  • チーム :共通した目的・目標を持ち、集団全体の成功・失敗を重視する人たちの集まり
つまりチームビルディングとは、”バラバラな目的・目標を持った人たちの集まり=グループ”から、”共通の目的・目標を持った人たちの集まり=チーム”に変化させるプロセスや営みのことをさします。

"チーム"の成長段階

チームの成長段階を表すモデルとして、タックマンモデルが有名です。心理学者のブルース・W・タックマンによって1965年に提唱されたモデルで、以下の5段階で表現されます。
  1. 形成(Forming)
  1. 混乱(Storming)
  1. 統一(Norming)
  1. 機能(Performing)
  1. 散会(Adjourning)
これらの段階は直線的に移行するものではなく、段階が戻ったり、停滞したりすると考えた方が自然でしょう。特に、日本は組織変更や異動の多い文化圏のため、機能しないまま散会を迎えるチームもよく目にするのではないでしょうか。
また、機能しているチームを長期継続することが良いかというと、必ずしもそうとは言えません。サイロ化を防ぐとともに組織全体の交流や学習を促すため、戦略的にチームメンバーを入れ替え変えるなどの工夫も必要となるでしょう。

“チームビルディング”で重要なポイント

採用や異動によってチームのメンバーが変更になる場合、チームとしての成長段階が前に戻る可能性を考慮する必要があります。例えば、阿吽の呼吸、暗黙の了解によって機能していたチームだと、少なくとも新しいメンバーの参加によって、混乱が起こるでしょう。
新たなメンバーを迎え入れたチームで以前より高いパフォーマンスを出すためには、既存のチームメンバーの努力も必要不可欠となります。
例えばチームのオンボーディングプログラムとして、チームのミッションやバリューなどを理解してもらうためのワークショップを行う、1on1ミーティングによって個々人との相互理解を促す、ペアプログラミングによって共同作業を行う、といった内容を仕組み化し、提供することが考えられます。新たなプロジェクトを開始する場合には、インセプションデッキやプロジェクト憲章などのプラクティスを活用し、チームの存在理由を明確にしておくことも効果的でしょう。
オンボーディングプログラムを継続的に改善することでチームとしての受入能力が向上し、変化に強いチーム、変化に強い組織へと成長していくことも期待できます。一人でもメンバーが変更になったら、チームビルディング(チームリビルディング)の必要性について再度確認してみてください。

チームビルディングのクライテリア

参考資料