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チーム構成と権限委譲

なぜ重要か?

価値提供を行うために、外部や別チームへ作業依頼を行う必要があったり、リーダーの承認がつどつど必要であると、ボトルネックが生まれてしまいます。
また、チーム人数が多すぎると、価値提供に直接関係のない調整など「仕事のための仕事」が増えて、生産性が落ちてしまいます。
これらはチーム構成と権限委譲が適切に行えていないために発生するので、高速な仮説検証を行うためにはチームを適正なサイズに維持する必要があります。

フィーチャーチーム

フィーチャーチームは、顧客への価値提供に必要なあらゆる職能のメンバーで構成されたチームです。これに対して、コンポーネントチームという言葉があります。コンポーネントチームは、機能や役割ごとに構成され、システム、営業、企画、デザイン、開発などにチームが分かれており、複数のチームを経由して一つの価値を提供する必要があります。
コンポーネントチームでは、チーム間での情報共有のためにドキュメントを作成する必要があることや、チームごとに局所最適な仕事をしてしまうことが課題として挙げられます。フィーチャーチームは、これらの課題を回避するために、実行能力を完結させます。
以下は、フィーチャーチームを作る上でのポイントです。

価値提供までに必要なすべての職能をそろえる

複数の専門職で1つのことを行うチームを作ります。
既存組織の枠にとらわれずに、顧客へ価値提供を行うために必要な技術を全て揃えたメンバーで構成します。
チームで全て完結できるため非常に素早く価値提供を行えるようになりますが、様々な職種で構成されるため、相互理解とコミュニケーションの重要度が高くなります。

権限の可視化と委譲

チームリーダーがメンバーに権限を委譲できていないと、ボトルネックになってしまいます。
例えば、記事を投稿するチームが投稿する前にリーダーのチェックが必要な仕組みになっていると、記事を書くスピードがいくらあがっても、リーダーのチェック可能な量=記事の投稿量になってしまいます。
この例で権限委譲する場合、記事を作成した本人がリーダーのチェック無しに投稿できるようにすることです。しかし、チェックが無い場合、クオリティの低下も想定されるので対策を打つ必要があります。アクセス数など可視化して質の低下がわかる仕組みであったり、何かあったときに誰でも修正が可能な状況を作る等、スピードを落とさずにチーム自身で改善していける仕組みづくりが重要です。
RACI図やデリゲーションポーカーで権限を可視化し、権限をあるべき姿へ移譲していきましょう。

属人化を減らす仕組み

ある作業が特定の人物しかできない状態を属人化と言います。
この状態になると様々なデメリットが発生します。
価値提供を行うために必要な作業が特定の人物しかできない状態は、価値提供のボトルネックとなります。また、その人物が離職した場合などに業務が進まないなどのリスクも孕んでいます。
この状態を避けるための仕組みを作っていくことが重要になります。
 
例として、トラックナンバーを使用した方法を記載します。
まずトラックナンバー(メンバーの誰かがトラックに轢かれるとプロジェクトが継続困難になる人数)を利用して可視化します。この数値が1となるものは、リスクが高いと言えます。
次に、この数値を2以上となるように、ドキュメント化を行ったり、ペア作業を通じて知識を伝えていくなどしていきます。
しかし、全てをドキュメント化していくのはとても手間がかかり、また最新化されていないとドキュメント化されていてもトラックナンバーが1のままであることもあります。
そもそも自動化してしまって作業する必要をなくしたり、単純なフローにして知識がない人でもすぐできるなどの状態を作ってしまう方法もあります。
作業特性によって、最善な方法を探していきましょう。

チーム人数

チームの人数としてパフォーマンスがあがる最適なメンバー数は、4人から6人であると、J・リチャード・ハックマン氏が結論付けています。
これはチーム人数が大きくなれば大きくなるほど、調整作業に時間を費やすことになってしまうからです。
最大でも10人以下のチームにする必要があります。
フィーチャーチームを満たせていても、10人以上のチームになっていると生産性が落ちている可能性が高いです。

チーム構成と権限移譲のクライテリア