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自動的な意思決定

文責: 石川 陽一

なぜ自動的な意思決定は重要か

データ駆動経営には、機械が自動化できることを機械に任せ、人には創造的な仮説の構築や開発などの人にしかできない領域に集中して経営資源を投入することが含まれます。 そのためには、作業の単純化だけでなく意思決定も含むビジネスプロセス全体のアーキテクチャ設計が重要な経営上のケイパビリティとなります。

自動的な意思決定とはそもそも何か

自動的な意思決定とは、人の意思決定を機械に代えられる、自動化できるようななことを、コンピューターシステムやソフトウェアに任せることです。これにより、人間の手間やミスを減らし、よりスムーズかつ効率的な意思決定を実現することが期待されています。
一例を以下に挙げます。
  1. 財務管理の自動化: 企業の財務データを分析して、キャッシュフロー管理、財務諸表の作成、財務プランニングなどを自動的に行うことによって、経営者がより財務状況を把握し、より正確な意思決定を行えるようにする。
  1. 人事管理の自動化: 従業員のデータからパフォーマンス評価やキャリアパスの設計などを行い、人事決策を自動的に行うことによって、効率的な人事管理を実現する。
  1. 供給チェーンオペレーションの最適化: 大量のデータを分析して、供給チェーンの最適な経路、在庫管理、生産スケジューリングなどを自動的に決定することによって、コスト削減と生産効率の向上を実現する。

自動的な意思決定を代表するプラクティス

自動的な意思決定に関して重要な3つのプラクティスは、以下のとおりです。
  1. 記録とプロセスマイニング:意思決定に関する記録を、プロセスマイニングができる形で保存すること。これにより、意思決定において採用されたアプローチを再現・分析することが可能になります。
  1. 明確な根拠とガイドライン:意思決定理由について、明確な根拠やガイドラインを作ること。これにより、公正な意思決定が可能であり、適切な決定を行うための指標を提供することができます。また、倫理規範も含まれていることが望ましいです。
  1. 業務の効率化と棚卸し:ビジネスプロセスやミーティングを棚卸しし、不要なものや従来の用途から離れてしまったものを停止・削除すること。これにより、無駄な業務を省いて効率化することができます。

自動的な意思決定はどのようにして測定するか

目標を明確に定めたメトリックスの採用が重要です。これにより、自動化の進捗を評価し、改善点を見つけることができます。例えば、ビジネスプロセスの実行時間(スピード)や効率性、業務のエラー率などを評価することが考えられます。これらのメトリックスを用いて、自動的な意思決定が正常に機能しているか、より良い結果を生み出すためにどのような改善が必要かを把握することができます。

自動的な意思決定で陥りがちなアンチパターンとはどういう状況か

アンチパターンには、以下のような例があります。
  • 各部門ごとの自動化・効率化
  • 部署別の自動化ツール導入
  • 既存業務や組織に合わせたツールのカスタマイズ
  • ビジネスプロセス全体のボトルネックの計測や自動化全体のアーキテクチャ設計の不足
  • 組織設計の不備
既存の処理を機械化または自動化することだけを優先し、業務自動化全体のアーキテクチャ設計を行わずに、部署個別にRPAツールを導入する、個々人で自動化ジョブを思いつくままに作成・リリースしていくといったことにより、かえって業務の混乱をきたすことも考えられます。

自動的な意思決定のクライテリア: