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Webフロントエンド版DX Criteriaの概要

 

DX Criteria (ディーエックス クライテリア) とは

オリジナルのDX Criteriaは日本CTO協会が監修・編纂している企業のデジタル化とソフトウェア活用のためのガイドラインです。
デジタル技術を企業が活用するために必要な要素を多角的かつ具体的に体系化したもので、ソフトウェアエンジニアリング組織の健全な成長・経営目標の可視化・パートナーとのコミュニケーションなどに使っていただくことを目的に作成されています。

Webフロントエンド版の立ち位置

Webフロントエンド版DX CriteriaはオリジナルのDX Criteriaが掲げる「2つのDXによって高速な仮説検証能力を得る」というビジョンをWebフロントエンド技術領域の観点から実現するためのサブセットに相当します。
Webフロントエンド版では技術領域のスコープを絞り具体的にすることで、企業内でプロダクトに関わる開発チームの立場から導入しやすいクライテリアを意図して定義しています。
このクライテリアを開発チームが導入することで、企業における高速な仮説検証能力の獲得がボトムアップ的に加速することが期待されます。
 

“多くの場合で望ましいと思われる基準”のチェックリスト

Webフロントエンド版DX Criteriaは、Webフロントエンド技術に携わる開発チームにとって多くの場合で望ましいと思われる習慣や文化を獲得しているかを判断するためのチェックリストになっています。
ただしクライテリアは絶対の基準ではありません。個別具体の状況においてはWebフロントエンド版クライテリアに記載された基準が必ずしも適切でないことがあります。より良いクライテリアのためにフィードバックがあればぜひご意見をお送りください。

Webフロントエンド版の目的

Webフロントエンド版では2つのDX(デジタル変革を意味する「Digital Transformation」と開発者体験「Developer eXperience」)を念頭に広範な企業活動を対象としているオリジナルとは異なり、開発チーム具体の目線から目的を再定義しています。

DXとUXの両立

Webフロントエンド技術領域の環境は日々変化しています。プロダクトを構成する技術要素だけではなく、ユーザーのデバイスや通信環境、要求、デザイントレンドも変化し続けています。
本クライテリアはこのように変わりゆく環境の中で、超高速な仮説検証能力を実現する開発者体験「Developer eXperience」と、それによってもたらされるプロダクトのユーザー体験「User eXperience」の両立を目指しています。

変化に適応するチームの実現

CriteriaではDXとUXの両立のためWebフロントエンド技術における変化への迅速な適応と、持続可能な成長を遂げるために必要なケイパビリティを示しています。
これらは環境の変化に適応しながら優れたプロダクトを創出し続ける競争力を企業にもたらします。Webフロントエンド技術領域に関わる開発チームが自身のケイパビリティを革新し、Webを介したユーザー体験の向上ひいてはプロダクトや企業価値の最大化に寄与できることを期待します。

本クライテリアの利用想定

想定する利用者

  • Web フロントエンド技術領域に関わる開発チームの当事者
  • 開発チームを管掌する立場にある技術系のマネジメント層など

適用対象のイメージ

本クライテリアは一定以上の複雑性を有するWebアプリケーションを開発・運用し、組織内にWebフロントエンドエンジニアの職能に類する定義がある企業を主に想定しています。
一方でCMSを利用した企業WebサイトやLPなどの静的なメディア制作、ノーコード開発といった環境においてはすべての項目を適用するというよりも、自社の状況に応じた取捨選択を推奨します。
エンタープライズ SaaS、インタラクティブなメディア、ECサイトなど、多様な機能とユーザーインタラクションを必要とするプロダクト環境では特に多くの項目を参考にできます。

本クライテリアにおける「Webフロントエンド」

本クライテリアの立項に際して「Webフロントエンド」という言葉を技術領域や職能の面でどのように整理したかを説明します。一般において厳密な境界を定めることは困難であり、あくまで本クライテリアにおける定義としてご参考ください。

技術領域としてのWebフロントエンド

技術領域としてのWebフロントエンドはソフトウェアエンジニアリングにおける関心領域のひとつであり、技術要素としてはHTML、CSS、JavaScriptのWeb関連技術を中心としたエコシステムおよび付随するライブラリ、フレームワーク等が含まれます。また実行環境としてWebブラウザやWebサーバ、CDN等の配信系も一部対象になります。

職能としてのWebフロントエンド

職能としてのWebフロントエンド(エンジニア)は上記の技術によってUIを提供するシステムを構築することでユーザーとサービスを繋ぎ、価値提供のラストワンマイルを担う役割を担います。そのためにはプログラミングやシステムはもちろん、ユーザー体験に関わるユーザビリティやデザインへの知識・関心も求められます。