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プロダクトマネジメント

文責:日本CTO協会 貝瀬岳志

"プロダクトマネジメント"はなぜ重要か

IT企業を中心に、長期利用を前提としたプロダクト(SaaSなど)が増加してきたことで、プロダクトマネジメントという概念が注目を集めています。プロダクトマネジメントは、顧客ニーズの分析、プロダクトビジョンの定義、開発やマーケティングにおける戦略上の意思決定、プロダクト関係者のリードなど、ビジネス上の利益を産み続けるために継続的に必要な活動です。

プロダクトマネジメントとプロジェクトマネジメント

プロダクトマネジメントと似ている言葉にプロジェクトマネジメントがありますが、それぞれ目的が異なります。

プロジェクトマネジメントの目的は「定めた目的の達成」

  • プロジェクトとは目的と期限を有する不定形業務のことです。
  • プロジェクトマネジメントは目的の達成とともに終了します。
  • 責任者のことをプロジェクトマネージャー(Project Manager)といいます。

プロダクトマネジメントの目的は「価値の最大化」

  • 価値とは顧客に利用される製品や商品のことで、企業利益につながるものです。
  • プロダクトマネジメントは価値が生み出される限り存続します。
  • 責任者のことをプロダクトマネージャー(Product Manager)といいます。
 
プロダクトマネジメントに責任を持つプロダクトマネージャーは、「価値の最大化に必要なあらゆる業務」を行います。具体的な業務については製品、組織・チームでの役割分担、プロダクトマネージャーの能力・経験等によって異なりますが、多くの場合、プロジェクトマネジメントの業務も含んでいます。例えばスクラムなどのアジャイル開発手法は、短いサイクル(1週間から1ヶ月以内)の周期で繰り返し行うプロジェクトマネジメントとも言えます。
他に、プロダクトマネージャーが行う業務の例をいくつか示します。
  • プロダクトディスカバリー(売れる製品・使われる製品を作るための仮説検証)
  • ビジネスモデル・ビジネスプランの策定
  • 市場・競合の分析
  • 開発戦略・販売戦略の策定
  • プロダクトロードマップ・プロダクトバックログの管理
  • 専門職(開発者、デザイナー、アナリストほか)との協働
  • エンドユーザー・ステークホルダーとの協働
 
プロダクトマネージャー(Product Manager)とプロジェクトマネージャー(Project Manager)は同一の略称表記であるPM(ピーエム)と呼ばれることもあり、混同されがちです。明確に区別するために、プロダクトマネージャーをPdM(ピーディーエム)、プロジェクトマネージャーをPjM(ピージェーエム)と呼ぶ場合もあります。

プロダクトマネジメントで重要なポイント

プロダクトマネジメントに関する著名人の一人、Marty Cagan氏(Silicon Valley Product Group創業者、INSPIRED著者)のBlogでは、以下の4つのリスクを管理することが重要であると紹介されています。
  1. バリューリスク - 顧客が買ってくれるか?ユーザーが使ってくれるか?
  1. ユーザビリティリスク - ユーザーが使い方を理解できるか?
  1. フィージビリティリスク - 自社のエンジニアが時間、テクノロジー、スキルの観点で作ることができるか?
  1. ビジネスバイアビリティリスク - このソリューションが自社のビジネスにおける様々な側面で機能するか?
 
同記事では、なるべく早い段階、つまりプロダクトディスカバリーの段階で、バリューリスクとビジネスバイアビリティリスクに取り組むことが重要であるとも言われています。
プロダクトマネジメントは価値が生み出される限り存続する活動であるため、有期限であるプロジェクトに比べて長期戦を覚悟する必要があります。これらのリスクに対処する過程で、エンジニアやデザイナーなどの他メンバーと価値観や目的などを共有しあい、長期的に存続可能な「チーム」を作り上げていくことも重要なポイントと言えるでしょう。

プロダクトマネジメントのクライテリア