スパン・オブ・コントロール
簡単に言うと、スパン・オブ・コントロールは「一人のマネージャーが効果的に管理できる部下の人数」のことです。工場の生産ラインで考えてみましょう。一人の現場監督が100人の作業員を同時に管理しようとすれば、個々の作業品質を確認することも、問題が発生した時に適切な指示を出すことも困難になります。逆に、一人の監督が一人だけを管理するのも非効率的です。適切な管理範囲を設定することで、組織は効率性と品質の両立を実現できるわけです。
カテゴリ解説を読むスパン・オブ・コントロールの基準を(最低4名-最大10名など)設けており、それに外れた部門数などをモニタリングしているか。
CORPORATE-1-2学習と改善兼務及びスパン・オブ・コントロールの基準が適切になるように、定期的に改善が行われているか。
CORPORATE-1-3プラクティス人事制度上、管理職位の設定は人事考課上の等級と独立して設置されるようになっているか。(部長職じゃないと、この給与にならないといったような職位と等級が一致するものでないか。)
CORPORATE-1-4プラクティスどのメンバーにとっても業務的な命令を行う上司は1名か。(その原則が崩れているメンバーを列挙して把握しているか。マトリクス組織であっても指揮系統は1つであるか。)
CORPORATE-1-5プラクティス行っている業務と部門の役割が一致するように部門のミッションステートメント(業務分掌)を明確に決めて全社に公開しているか。
CORPORATE-1-6アンチパターン人事評価者と指示を行う者の不一致がある組織になっている。または、一致するかの確認ができていない。
CORPORATE-1-7アンチパターン部下が0名ないし1名の管理職が存在する。
CORPORATE-1-8アンチパターンスパン・オブ・コントロールを守るための組織のガイドラインが存在しない、もしくはガイドラインが存在していても例外が常態化している。
開発者環境投資
簡単に言うと、開発者環境投資は「大工に良い工具を提供するようなもの」です。建設現場で考えてみましょう。優秀な大工でも、切れ味の悪いノコギリや精度の低いメジャーを使わされれば、作業効率は大幅に低下し、仕上がりの品質も下がります。逆に、高性能な電動工具や精密な測定器具を提供すれば、同じ時間でより高品質な成果物を生み出せます。ソフトウェア開発でも同じことが言えます。高性能な開発マシン、快適なオフィス環境、自由なインターネットアクセスといった基本的な環境への投資が、開発者の生産性と満足度を大きく左右するわけです。
カテゴリ解説を読むプロダクト開発に関係する全ステークホルダーに対して、自社のIT環境の満足度やeNPS℠を定期的に測定しているか。
CORPORATE-2-2学習と改善働く環境について、事業競合や採用競合ともコミュニケーションする機会を意識的に持ち、従業員の満足度において常に改善を繰り返しているか。
CORPORATE-2-3プラクティス開発者(およびデザイナー)は、職務遂行に十分なスペックの開発マシンを貸与されているか。(開発マシンは、開発者からのアンケートなどを通じて満足が確認されているか。)
CORPORATE-2-4プラクティス従業員が作成したソフトウェアライブラリを、自社のOSSまたは個人のOSSとして公開するためのガイドラインを準備しており、何らかソフトウェアを公開しているか。
CORPORATE-2-5プラクティスオフィス内のWi-Fi速度は安定して100Mbpsを超えており、人数規模に十分なキャパシティを持っているか。
CORPORATE-2-6アンチパターンソフトウェア開発作業を行う場所で、自由にインターネットを使うことができない。(たとえば、SNSをつかわせないなど)
CORPORATE-2-7アンチパターン障害対応など予測の困難な業務や、輪番対応等の計画された定時外業務があっても、定時出勤することを求めている。
CORPORATE-2-8アンチパターン開発マシンにソフトウェアをインストールするには煩雑な申請が必要で、過度に制限されている。
コミュニケーションツール
簡単に言うと、コミュニケーションツールは「企業の神経系統」のようなものです。人間の体で考えてみましょう。脳からの指令が神経を通じて手足に伝わり、逆に手足からの感覚情報が脳に届くことで、私たちは適切に行動できます。神経系統が損なわれると、情報伝達が遮断され、体は正常に機能しなくなります。企業も同じです。経営層の方針が現場に伝わり、現場の課題が経営層に届くという双方向のコミュニケーションが機能してこそ、組織は適切に動けます。チャットツール、ドキュメント管理システム、チケットツールといったコミュニケーション基盤が整備されていなければ、情報は属人化し、意思決定は遅れ、組織全体の効率性が大きく損なわれるわけです。
カテゴリ解説を読むチャットツールにおける全社員が閲覧可能な状態でのコミュニケーションの割合を測定しているか。
CORPORATE-3-2学習と改善ここ1年以内に管理職以上で、「コミュニケーションの透明性向上」を目的とした対策を検討し実施したか。
CORPORATE-3-3プラクティスチャットサービスは全社で同一のサービスが導入され、チャットを通じた業務上の手続きの自動化(ChatOps)が可能か。
CORPORATE-3-4プラクティス社内ナレッジの管理のために、社内統一のドキュメント管理サービスを導入し、構造化されているか。
CORPORATE-3-5プラクティス他部門にタスクを依頼する際に、メールやチャットをただ単に送るのではなく、直接的あるいは自動的にチケットツールなどでストック情報として管理できるようになっている。
CORPORATE-3-6アンチパターン各種ミーティングにおいて、オンラインでアクセスできる共通の議事録をとっていない。
CORPORATE-3-7アンチパターン意思決定者や管理者がチャットツールにログインしておらず、コミュニケーションが取れない。
CORPORATE-3-8アンチパターンチャットツールを通じた雑談を禁止している。または雑談をやめるように注意喚起を促したことがある。
人事制度・育成戦略
簡単に言うと、人事制度・育成戦略は「企業の人材栽培計画」のようなものです。農業で考えてみましょう。農家は土壌の状態を把握し、どの作物をどれだけ育てるかを計画し、適切な時期に種をまき、水や肥料を与えて成長を促します。企業も同じです。現在の従業員のスキルセットを把握し、将来必要となる人材像を定義し、採用と育成を計画的に実施し、継続的な学習機会を提供することで、組織の競争力を維持・向上させます。計画なしに人材を育成すると、特定のスキルが不足したり、市場価値より低い報酬しか払えずに優秀な人材が流出したり、自社内でしか通用しないノウハウばかりが蓄積されたりするわけです。
カテゴリ解説を読む理想的な自社従業員のスキルセット構成から逆算した採用・育成計画が中長期の計画として定義されているか。
CORPORATE-4-2学習と改善全社員のスキルセットやキャリアを管理しているタレントマネジメントシステムを導入していて、データと計画をアップデートしているか。
CORPORATE-4-3プラクティスプロダクト開発に関わる従業員一人あたり年間12万円(月額1万円)以上の教育研修予算があるか。
CORPORATE-4-4プラクティス専門職向けのジョブ型人事制度があり、管理職と同等かそれ以上の給与で従事しているメンバーが存在するか。
CORPORATE-4-5プラクティスリモートワークやフレックスタイムなどの柔軟な働き方を導入しているか。
CORPORATE-4-6アンチパターン高度な専門人材に対して、市場変化を考慮した年収額のアップデートができない人事制度になっている。
CORPORATE-4-7アンチパターン自己学習のための書籍や、オンライン学習の補助手当がない。
CORPORATE-4-8アンチパターン新入社員向けカリキュラムが、自社内でしか通用しないノウハウに特化したものとなっている。
デジタル人材採用戦略
簡単に言うと、デジタル人材採用戦略は「優秀な選手をスカウトする戦略」のようなものです。プロスポーツチームで考えてみましょう。強いチームを作るには、必要なポジションを明確にし、適切なスカウティング体制を整備し、競合チームより魅力的な条件を提示し、迅速に契約を結ぶ必要があります。採用活動を常に行わず、スカウト予算が不足し、選考プロセスが遅く、経営層が採用に関与しなければ、優秀な選手は他チームに取られてしまいます。企業のデジタル人材採用も同じです。必要な人材像を定義し、採用管理システムで効率化し、競合より早く魅力的なオファーを出し、経営層が採用に責任を持つことで、優秀なエンジニアを獲得できるわけです。
カテゴリ解説を読むソフトウェアエンジニアの採用活動を常に行っており、毎年十分なペースでソフトウェアエンジニアを採用できているか。
CORPORATE-5-2学習と改善採用管理システムが導入され、採用に関わる全てのステップ、チャネルからの情報が遅滞なく不足なく集約されているか。
CORPORATE-5-3プラクティス候補者の方との初回面談から、オファーまでのリードタイムを目標とともに管理しているか。(長すぎる選考プロセスは、人材獲得の妨げになる。)
CORPORATE-5-4プラクティス採用したい人材の基準を明確化したJob Description(求人票)が存在し、現場エンジニアとともに30日程度の間隔で見直し、更新しているか。
CORPORATE-5-5プラクティス中途採用におけるリファラル採用(社員からの紹介による採用)の比率が全体採用数の30%を超えているか。
CORPORATE-5-6アンチパターン採用部門の予算計画が存在しない、または行使可能な予算金額が年間の採用目標人数の年収合計に対して25%以下しかない。
CORPORATE-5-7アンチパターン全社的に固定された採用プロセスに従うことが重視されており、候補者状況に合わせた採用プロセスの変更調整が一日以内にできない。
CORPORATE-5-8アンチパターン経営や幹部人材が、人材採用に対して責務を負っておらず十分な時間と熱量を費やしていない。
モダンなITサービスの活用
簡単に言うと、モダンなITサービスの活用は「最新の道具を使って業務効率を上げること」です。オフィスワークで考えてみましょう。昔は書類を手書きで作成し、コピー機で複製し、郵送していました。今ではパソコンで作成し、クラウドで共有し、電子承認で決裁します。同じ仕事でも、道具が進化すれば効率は劇的に向上します。企業のITサービスも同じです。オンプレミスのレガシーシステムからクラウドSaaSへ移行し、社内独自開発からデファクトスタンダードのツール活用へシフトし、紙とハンコの文化からワークフローツールへ転換することで、業務効率が大幅に改善され、従業員の満足度も向上するわけです。
カテゴリ解説を読む従業員の情報システムへの満足度と利用度、申請から承認までのリードタイムなどの指標を継続的に測定し、改善に生かしているか。
CORPORATE-6-2学習と改善SaaS間の自動連携を目的としたサービス(iPaaSやLow Code系ツールなど)を導入しており、業務の自動化や効率化をするためのBPR活動を事業部主体で実行しているか。
CORPORATE-6-3プラクティス業務に合わせて社内のシステム開発を行うのではなく、デファクトなSaaSなどの利用を行い、そのツールに業務自体をフィットさせているか。
CORPORATE-6-4プラクティス表計算やプレゼン資料などはすべてクラウド上で共同編集できるようになっているか。
CORPORATE-6-5プラクティス自身のスマートフォン、または貸与されたスマートフォンを用いて、会社の予定・メール・コミュニケーションツールなどを利用できるか。
CORPORATE-6-6アンチパターン決裁書類がワークフローツールだけで完結しない。
CORPORATE-6-7アンチパターンサポート切れの古いバージョンのOSやブラウザでしか動作しないツールが使われている。
CORPORATE-6-8アンチパターン業務で利用しているシステムにシステム間連携を目的としたAPIが用意されていない。
経営のデジタルファースト
簡単に言うと、経営のデジタルファーストは「経営陣が先頭に立ってデジタル化を推進すること」です。企業変革をスポーツチームの改革に例えてみましょう。監督やコーチが旧来の練習方法に固執し、選手だけが新しいトレーニング法を試そうとしても、チーム全体の変革は実現しません。監督自身が最新のスポーツ科学を学び、データ分析を活用し、戦略を明確にし、それを選手に示してこそ、チーム全体が変わります。企業のデジタルトランスフォーメーションも同じです。経営層がデジタル技術への理解を深め、明確なビジョンを示し、技術戦略を策定し、競争領域を内製でコントロールし、適切な投資判断を行うことで、組織全体のDXが加速するわけです。
カテゴリ解説を読むデータとデジタル技術を用いて、どのように事業変革をしていくのかのビジョンを明文化して経営メッセージとして発信し、その推進経営指標をもっているか。
CORPORATE-7-2学習と改善ソフトウェアエンジニアとしての業務経験のあるCTOないし技術担当取締役が存在し、技術戦略についての策定を主導的に行っているか。
CORPORATE-7-3プラクティスデジタル技術を活用した経営変革を担う担当役員(CDO等)が存在するか。
CORPORATE-7-4プラクティス自社システムの戦略(競争領域・非競争領域の定義)を明確化しており、競争領域のプロダクト開発を内製人材でコントロールできているか。
CORPORATE-7-5プラクティスデジタル事業および人材獲得に向けたM&A・投資戦略を遂行するための部隊が存在するか。
CORPORATE-7-6アンチパターンIT予算の過半をソフトウェア資産として計上し、予算決裁のためにリードタイムの長い(1ヶ月以上かかるような)意思決定フローを挟んでいる。
CORPORATE-7-7アンチパターン継続的なシステム改善のためのプロダクトマネジメント経験者がいない。そのため、開発チームとの関係が受発注構造になっている。(情報子会社問題)
CORPORATE-7-8アンチパターン競争領域ではないシステムについて、業務フローをSaaSに合わせて変更するのではなく、既存の業務フローに合わせてパッケージソフト等をカスタマイズしている。
攻めのセキュリティ
簡単に言うと、攻めのセキュリティは「守りながら攻める戦略」のようなものです。スポーツで考えてみましょう。サッカーで全員が守備に回れば失点は減りますが、得点も取れません。逆に、守備を疎かにして攻撃だけに集中すれば、大量失点で負けてしまいます。優れたチームは、堅固な守備を維持しながら、攻撃の機会を最大化します。企業のセキュリティも同じです。過度なリスク回避でインターネットアクセスを制限したり、開発マシンへのソフトウェアインストールを禁止したりすれば、セキュリティリスクは下がりますが、従業員の生産性も大きく低下します。攻めのセキュリティとは、セキュリティリスクを適切に管理しながら、従業員の生産性を最大化し、事業のスピードを維持する戦略なのです。
カテゴリ解説を読むセキュリティ担当者の人事評価における評価基準に事業や従業員の生産性改善が組み込まれているか。
CORPORATE-8-2学習と改善社内のセキュリティ担当者が、近年のセキュリティ動向やシフトレフト、リモートワークについて理解し、事業部門とともに開発リードタイムや生産性の改善のために必要な措置をおこなっているか。
CORPORATE-8-3プラクティスインシデントレスポンスチームが、社内の専門家と事業責任者を含むチームにより構成されていて、インシデント時の予行練習をおこなっているか。
CORPORATE-8-4プラクティス境界防御モデルではなく、ゼロトラストモデルのセキュリティネットワークを構築しているか。
CORPORATE-8-5プラクティスセキュリティの意思決定は、定期的に行われている金銭的価値に換算されたリスクアセスメントにともない、費用対効果を定量的に評価した上で行われているか。
CORPORATE-8-6アンチパターン管理・監視できない領域のITサービス・デバイスの利用が行われていること(シャドウIT)に対して対策が打てていない。
CORPORATE-8-7アンチパターン"パスワードを定期的な変更を強制する"、"添付メールでパスワード付きZIP形式のファイルを送信し、別途パスワードをメールで送る"などの現在ではセキュリティ価値が低いとされるルールが残っている。
CORPORATE-8-8アンチパターン従業員および経営幹部に対して、リモートワークのリスクなどの最新のトレンドなどが取り入れたセキュリティ教育がなされていない。
リモートワーク
簡単に言うと、リモートワークは「場所を選ばない働き方」のことです。営業活動で考えてみましょう。従来の営業は、顧客を訪問し、対面で商談し、オフィスに戻って報告書を作成していました。今では、オンライン会議で商談し、クラウド上で資料を共有し、自宅やカフェから報告書を作成できます。移動時間が削減され、より多くの顧客と接点を持てるようになります。同じように、ソフトウェア開発やデザイン業務も、適切なツールと環境があれば、オフィス以外の場所から効率的に行えます。リモートワークを実現することで、優秀な人材を地理的制約なく採用でき、従業員のワークライフバランスが向上し、災害やパンデミック時にも事業継続が可能になるわけです。
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